上映スケジュール
6月2日(金)〜6月3日(土) (終了予定 4:30頃)
「淀川長治 名作劇場 〜淀川さんの映画解説とともに」
【淀川長治】
1909年明治42年神戸に生まれて幼少の頃から、当時はまだ活動写真と呼ばれていた時代、浴びるほどの映画を見て育つ。入試で上京したにもかかわらず、中学時代から投稿していた「映画世界」編集部へ就職してしまう。その後ユナイテッド・アーチスト(ユナイト)大阪支社宣伝部に入社、東京支社へ移り戦時中は東宝、戦後統制下はアメリカ映画のセントラル映画社へと配給宣伝の仕事に携わるが、1947年最初にお世話になった映画世界社の「映画の友」の編集の仕事に再び就き、その後「日曜洋画劇場」のTV解説を務め、1998年89歳で亡くなるまで全国の映画ファンに映画の顔として親しまれた。

★本編上映前に、淀川長治氏による解説映像を上映いたします★

駅馬車
STAGECOACH
1939年 アメリカ映画 99分 DCP上映
監督: ジョン・フォード
出演: ジョン・ウェイン、クレア・トレヴァー、トーマス・ミッチェルほか
配給: コピアポア・フィルム
協力: 岡田喜一郎(淀川長治解説映像)
淀川さんがユナイト東京支社に移って間もなく、アメリカ本社から「Stagecoach」完成とニュースが届く。試写で初めてジョン・フォードが久しぶりに撮った西部劇の大傑作とわかり、公開が早まった。封切りまで2か月余り。題名の「駅馬車」は淀川さんが付けたもの、宣伝コピーは「駅馬車来る!」、自ら宣伝隊を雇って喫茶店の電話で大声で「駅馬車よかったぜ」、駅の告知板には「駅馬車を見に行く」と触れ回り、ボスに無断で数十回の試写を組み口コミで広めて大ヒットした。

駅馬車
©MCMXXXIX BY WALTER WANGER PRODUCTIONS, INCORPORATED. ALL RIGHTS RESERVED.
黄金狂時代
THE GOLD RUSH
1925年 アメリカ映画 72分 35ミリフィルム上映
監督:   チャールズ・チャップリン
出演: チャールズ・チャップリン、ジョージア・ヘイル、マック・スウェインほか
配給: KADOKAWA
協力: IVC(淀川長治解説映像)
淀川さんはチャップリンと2度会っている。まだユナイト大阪支社にいた頃「モダンタイムス」を撮り終えたチャップリンがポーレット・ゴダードと新婚旅行の帰りに神戸へ寄港した時、そして16年後「ライムライト」のハリウッドの撮影スタジオで。淀川さんはチャップリン映画にあふれる「食べる」「働く」「愛する」そして「夢を見る」という純粋な人の営みにこそ幸福は宿ると、チャップリンの素晴らしさを人々に語り続けた。「黄金狂時代」は淀川さんの生涯のベストワン映画。

黄金狂時代
©Roy Export S.A.S. All Rights Reserved.
第三の男
THE THIRD MAN
1949年 イギリス映画 105分 DCP上映
監督: キャロル・リード
出演: ジョセフ・コットン、オーソン・ウェルズ、アリダ・ヴァリほか
配給: 東宝東和
協力: IVC(淀川長治解説映像)
アントン・カラスによるチターの音楽が大ヒットした英国映画を代表する名作。脚本は英国のミステリー作家グレアム・グリーンが製作のアレクサンダー・コルダに依頼されて書き下ろしたもの。途中からわずかしか出番のないオーソン・ウェルズのインパクトが強烈。ウィーンの夜の石畳の舗道、地下の下水道、ラストの枯葉舞う長い道、白黒の撮影が記憶に残る。淀川さんはこの映画を「映画の教科書」と評し「隙がない奇麗さにちょっと嫌気がさしたぐらいの名作」と言っている。

第三の男
©Studiocanal.
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