上映スケジュール


8月25日(金)〜8月26日(土) (終了予定 5:55頃)
「ポリティカル・ナイト〜政治映画特集」
グッドナイト&グッドラック
Good Night, and Good Luck.
2005年 アメリカ映画 93分 35ミリフィルム上映
監督: ジョージ・クルーニー 
出演: デヴィッド・ストラザーン、ジョージ・クルーニー、ロバート・ダウニー・Jr ほか
配給: 東北新社
アメリカで共産主義者を告発するマッカーシズム“赤狩り”が吹き荒れた1950年代、TV報道番組「シー・イット・ナウ」のニュースキャスター、エド・マローと番組のスタッフたちはジャーナリストとしての良心と勇気を持って、赤狩りの首謀者マッカーシー上院議員と対決する。この映画はニュースキャスターだった父を持つ監督ジョージ・クルーニーの念願の映画化で、9.11以後のブッシュ大統領によるテロ対策として愛国者法が制定された時勢に製作された。また映画には記録映像がふんだんに使われマッカーシー上院議員は当時の本人その人、デヴィッド・ストラザーン演じるエド・マローが映画の中で読む原稿は当時の原稿そのものである。この放送を契機にマッカーシーは失墜し赤狩りの恐怖の時代は終わるが、CBS会長ウィリアム・ペイリーとの確執を生み視聴率とスポンサーを巡ってTVの報道番組のあり方の新たな問題が生まれることになる。題名の「グッドナイト&グッドラック」はエド・マローが番組の最後に言うおなじみの言葉。

グッドナイト&グッドラック
 ©2005 Good Night Good Luck, LLC. All Rights Reserved.
合衆国最後の日
Twilight's Last Gleaming
1977年 アメリカ・西ドイツ映画 146分 BD上映
監督: ロバート・アルドリッチ
出演: バート・ランカスター、チャールズ・ダーニング、リチャード・ウィドマークほか
配給: boid
設定は冷戦時代の1981年、映画の公開数年後という架空の政治アクション映画。1972年に発表された原作小説を映画化するにあたって監督のアルドリッチは2つの条件を挙げ、1つはテロリストたちの動機が金だけだった脚本を変えて政治的な動機を加えること、そしてバート・ランカスターを主演に迎えることだった。この政治的な動機とは、当時の合衆国政府はベトナム戦争が多大な損失のみを残して勝利することのない戦いとわかっていたにも関わらず、国家の威信のために戦争を長引かせたという機密文書を国民に公表せよというもの。これは明らかに現実のベトナム戦争当時の内部告発「ペンタゴン・ペイパーズ」がモデルとなっている。だが見どころはチャールズ・ダーニング演じる臆病な大統領が真の大統領になるところからもう一段上がる。核兵器を用いてのテロリストの脅迫から大統領と国民との信頼関係へ主眼が移って行く中で、最終的には大統領もより強大な力の前に潰されてしまう。国家とは何なのか、監督は見る者に投げかけている。

合衆国最後の日
©1977 Geria Film GmbH
太陽を盗んだ男
 
1979年 日本映画 147分 35ミリフィルム上映
監督: 長谷川和彦
出演: 沢田研二、菅原文太、池上季実子ほか
配給: 東宝
レナード・シュレイダーの「若者が原爆を一人で作って9番を名乗り国家を脅迫する」という荒唐無稽で卓抜なアイデアに惚れ込んだ監督の長谷川和彦は2つ注文を出す。1つは原爆を作る過程で主人公が被爆すること、もう1つは刑事役を「野良犬」の三船敏郎が30年後に生き返ったような刑事にすること(この刑事は菅原文太が演じる)。同時期に作られた「合衆国最後の日」との類似性とこの映画の独自性が見えてくる。監督が広島出身で昭和20年8月6日に胎内被爆したことを知ってこの映画を見る時、沢田研二演じる被爆するテロリストは監督自身と重なり、これは単なる愉快犯などではなくもっと重いテーマ、個人と国家、戦争責任まで透けて見えてくる。若者が何のために原爆を作るのか、どういう要求をするのか、現代の孤独なテロリストの職業は何か、監督はリアリティを求めて考え続けたと言う。映画はシリアスよりコミカルさを出してエンタテインメントに傾くが、見終わった後は痛快な娯楽映画を見ただけでは終わらない感覚が残る。

太陽を盗んだ男
 ©1979 東宝/フィルムリンク・インターナショナル
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