上映スケジュール
12月6日(金)・7日(土)(2日間) (終了予定 翌5:00頃)
午前0時のフィルム映写会『大島渚監督特集〜日本の政治エンタメ映画の真髄〜』
大島渚(1932〜2013)
京都生まれ。松竹入社後の監督第二作「青春残酷物語」をして「松竹ヌーヴェルヴァーグ」の旗手となる。60年安保闘争をテーマにした「日本の夜と霧」が公開4日で上映打ち切りとなり、大島は松竹を退社し独立プロ「創造社」を設立する。「絞死刑」以後世界的に注目され、「愛のコリーダ」「戦場のメリークリスマス」など国際的な話題作を生んだ。戦後日本の政治・社会問題を真っ向から取り上げ、かつ高いエンタテイメント映画を作り続けた大島渚は、政治の話題が顕著な今こそ注目すべき映画。

日本春歌考
1967年 日本 103分 カラー 35oフィルム上映
監督: 大島渚
出演: 荒木一郎、小山明子、田島和子、伊丹一三
製作: 創造社
配給: 松竹
大学受験に上京した若者たちは、1967年2月11日、戦後最初の「建国記念の日」が実施された日、雪の東京で「黒い日の丸」を掲げた紀元節復活反対のデモに遭遇する。1960年代は日韓条約、ベトナム戦争の時代。軍歌、労働・学生運動歌、反戦フォークに対抗して春歌「ヨサホイ数え歌」が歌合戦のように歌われる。吉田日出子の朝鮮人娼婦の歌「満鉄小唄」が切なく美しい。70年代の学生自主映画を予感させる青春映画。

日本春歌考
© 1967 松竹株式会社
絞死刑
  
1968年 日本 117分 白黒 35oフィルム上映
監督: 大島渚
出演: 佐藤慶、渡辺文雄、小松方正、戸浦六宏
製作: 創造社+ATG
1958年の在日朝鮮人 李珍宇による「小松川事件」(1962年刑執行)を材に、死刑執行が失敗し心神喪失して生き延びた青年“R“に執行官たちが犯行を再現して自覚させるという荒唐無稽なフィクション。想像と現実の狭間でR=李珍宇が主体を奪還し、世を告発することなく死刑を受け入れた事件の経緯を見事に映画化する。日韓問題、在日問題、死刑問題など様々な問題が露わになり、最後に「国家」が映画に立ち現れる。

絞死刑
© 大島渚プロダクション
少 年
 
1969年 日本 97分 カラー 35oフィルム上映
監督: 大島渚
出演: 渡辺文雄、小山明子、阿部哲夫、木下剛志
製作: 創造社+ATG
1966年実際にあった子供を使った当たり屋事件を映画化。傷痍軍人の父は自ら病人と称してまともに働こうとせず、犯罪を重ねて生きて行くしかない家族は、当たり屋をしながら冬の日本海沿岸を北上する。「犯罪者がなぜ悪い」という大島独自の、表現者である自らも犯罪者だという意識に立ち、世に晒された彼らを「聖家族」と見、頑なに黙秘する少年は気高き反抗者となる。ロケ撮影の美しさとともに愛される大島映画。

少年
© 大島渚プロダクション
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